・・・・・秋の冥界はまさに地獄のような忙しさであった。

雑兵1「ラダマンティス様!日本からのバス事故犠牲者25人入りますー!」
ラダ「何!?またか!くそっ、日本人め!浮かれ騒いで紅葉なんか見に行くから、こちらがいらん苦労をする!!おい、空いている地獄はどこだ!?」
雑兵2「だめです!どこも一杯ですよ!この時期にそうそう空いてる場所なんて・・・」
雑兵3「ラダマンティス様ー!お盆帰りの死者百名、ただいま帰界しましたー!」
ラダ「な、なんだと!?今さらお盆帰り!?おのれ、二次ラッシュか!!仕方ない、適当に地獄を振り分けてムリヤリ押し込んどけ!」
雑兵1「で、こっちの25人はどうします!?」
雑兵2「空いてるところといったら、後は花畑ぐらいしか!」
ラダ「通せるかそんな場所!!本当に他に場所はないのか!?おい、バレンタイン!バレンタインはどこだ!」
雑兵4「先ほど、第七獄の四の壕で問題が発生したとかで、見に行かれました!」

 そのバレンタインが戻ってきた。

バレン「ラダマンティス様!大変です!!」
ラダ「今度は何だ!」
バレン「四の壕は罪人達が首を前後につけられて右往左往するという地獄ですが・・・人口密度が高すぎて右往左往できていません!!」
ラダ「だから何だ!!放っておけそんなもの!」
バレン「それだけではありません!血の大瀑布の水量が激増して、堤防が破れそうです!」
ラダ「な、なにぃっ!?わかった、すぐに・・・・・」

 言いかけたラダマンティスの体が、突然足元から崩れたのはその時であった。

バレン「ラダマンティス様!?」
ラダ「・・・・・・・・・・」

 慌てて駆け寄ったバレンタインが、あわや地面に倒れこもうとする彼を支える。

バレン「ラダマンティス様!しっかりしてください!!」

 必死に呼びかけるが・・・・上司は既に意識を失っていた。

バレン「だ、誰か!!大変だ!パンドラ様を・・・・パンドラ様をお呼びしろ!!」



パンドラ「過労、だな」

 やってきてラダマンティスを診察した冥界の花は、調子も重くそう言った。
 過労。

バレン「・・・哀しい・・・・23歳の男の病名としてはあまりにも哀しすぎる・・・・!!」
パンドラ「寝不足に神経性胃炎、ノイローゼも併発している。さすがの冥界三巨頭も病魔には勝てんか」
ミュー「お言葉ですが、パンドラ様。冥界三巨頭といえど亡霊ではありません。私たちと同じように、地上に生きている人間です」
ゴードン「いや、お前は違う。3段変化のバケモノとラダマンティス様を一緒にしないでくれ」
ミュー「バケモノだと・・・?」
クィーン「やめないか。いまはつまらぬ争いをしている時ではなかろう」
シルフィード「まったくだ。それより・・・」

 部下達は心配そうに、目を閉じたままのラダマンティスを見やった。
 バレンタインに至っては、既に涙目。

バレン「・・・・おいたわしい・・・これというのも、ミーノス様が手抜き裁判やらかして、死者が第一獄(法廷)を続々と素通りしてくるからっ・・・・!」
クィーン「ラダマンティス様も、そうご自分に厳しくなさらずある程度は気楽に構えればよい物を・・・」
ゴードン「それができんお人柄なのだ。オレも似たような事を言ってみた事があるが、その時のラダマンティス様の答えはこうだった・・・『どうせツケは俺にまわってくるのだ』と」

・・・・・・・・・・・・・・・・

バレン「・・・いかん。本気で泣けてきた」
シルフィード「隔離だ!!ラダマンティス様を一時隔離して仕事から遠ざけよう!!」
クィーン「そうだ休暇だ!!何か・・・何かこの方に趣味のようなものはないのか!?」
ゴードン「ラダマンティス様のご趣味・・・・・・し、仕事か?」
バレン「だからそういう哀しい事をいうなーーーっ!!」

 同情の涙に頬をぬらす冥闘士達。
 彼らは自分達の敬愛する哀れな上司のために、その後一時間ばかりなにやら話し合っていた・・・




 ギリシャ聖域の双児宮では、その日もサガの怒号が響き渡っていた。

サガ「カノン!!部屋を散らかすなと何回言ったらわかるのだ!!お前だけの家ではないのだぞ!?食べたら皿を片づける!読んだ漫画は本棚に戻す!それだけの事がどうしてお前はできんのだ!!」
カノン「あああうるさい!毎日毎日!!なんでお前はそう神経質なのだ!部屋など、究極にごったがえしてから片付ければよいだろう!?」
サガ「馬鹿な事を言うな!虫が湧いたらどうしてくれる!ああほら、こんなところに洗濯物が!お前のだぞカノン!」
カノン「知らん!」
サガ「こら、何だその態度は!!」

 ゴン!

カノン「っいって・・・・!いちいち殴るなっ!!」
サガ「殴られたくなければ片づけろ!!岬送りにされたいか!!」
カノン「いやだ!!」
サガ「だったら言う事を聞かんか!!まったく、こんな部屋の状態で、もし客が来たらどこに通す気だ!?」
カノン「こんなところまで来る客がいるか!!」

 と、カノンが怒鳴り返した時だった。

ムウ「あのー。たてこんでいるところ申し訳ありませんが、カノン。あなたにお客さんですよ」
ミュー「ど、どうも・・・」

 なんだか異様に怯えた様子の冥闘士が、にこやかな笑顔を浮かべたムウの背後からそっと顔をのぞかせた。
 サガとカノンはしばし口を開けたまま沈黙し・・・・

カノン「・・・・・誰だ?」
サガ「こらっ!お客さんに対して失礼ではないか!!ああくそっ!いわんこっちゃない!!だから部屋を片づけろとあれほど言ったのだ!!恥ずかしくないのかこんなのを客に見られて!!ほら、お前の脱ぎっぱなした下着!!」
カノン「だあああっ!!やめろっ!!わざわざ人前で発掘するなっ!!お前の方が失礼だ!!」
ムウ「・・・・・というか、客が来ているのに兄弟喧嘩を続けること自体がとてつもなく失礼ですよあなた達」
ミュー「・・・・・・・・・・・・・(汗)」

 兄弟をなだめて、ミューの紹介を終えると、ムウはさっさと帰っていった。
 残された客人は白い糸でくるんだ大荷物を傍に、なんだか居たたまれない様子をしている。
 サガは持ち前の優しい笑顔を向けてやった。

サガ「なるほど。君があのパピヨンのミューか。わけのわからん液体生物からダンゴ虫を経て人間になるとか。ぜひ一度、この目で拝見したいものだな」
ミュー「は、はあ・・・・・・・;;;」
カノン「そのくせ自分では『普通の人間』を主張しているのだったな?本気か?ギャグにしか聞こえなかったが」

 ムウ、相当根性の悪い紹介をしたらしい。

サガ「まあ、何にせよ、あの世からここまで来てくれたのだ。用件を聞こうか」
ミュー「あ、ああ・・・・・実は・・・・しばらくこの方を預かっていて欲しいのだ」

 ミューはやっとの思いでそれだけ言って、横に置いた大荷物のシルキィスレードを解いた。
 中から現れたのは・・・・

カノン「ラダマンティス!?」
サガ「知り合いか?カノン」
カノン「お前だって見た事ぐらいあるだろうが!冥界三巨頭の一人だ!冥衣を着ていないからわかりづらいかも知れんが・・・」
サガ「むう・・・そう言われてみると、この繋がった眉毛には見覚えがあるような気も・・・」

 どこまでも失礼な双子であった。

ラダ「う・・・・・・はっ、こ、ここは・・・?」
ミュー「ラダマンティス様!お気づきになられましたか!?」
ラダ「ミュー?・・・な!カノン!?サガ!?お、おい、これは一体どういう・・・」
ミュー「申し訳ありません・・・今、ここで私が説明する事はできないのです・・・!さようなら、ラダマンティス様!そしてカノン!これが取り扱い説明書だ!!この方を頼んだぞっ・・・!!」
カノン「あ、おい・・・!」
サガ「待て・・・!」
 
 だが、ミューは静止の言葉も聞かずに飛んでいってしまった。
 残された三人はただ顔を見合わせて呆然とする。

サガ「何というか・・・さして親交も無い遠い親戚からある日突然大量の柿を送りつけられた気分だ・・・」
カノン「柿ならまだ食えるが・・・・これは食えそうも無いしな」
ラダ「何が何だかさっぱりわからん・・・・カノン、取り扱い説明書とやらを見せてもらえるか?」
カノン「ああ」

 カノンは説明書を開いた。となりから、サガとラダマンティスとがそろって覗き込む。
 そこにはこう書いてあった。

説明書「ラダマンティスサマ ノイローゼニヨリ セイチリョウヨウノヒツヨウアリ メイカイノシゴト オチツイタラ ヒキトリニウカガウ ソレマデタノム   ブカイチドウ」

カノン「・・・・ラダマンティス様、ノイローゼにより静地療養の必要あり。冥界の仕事、落ち着いたら引き取りに伺う。それまで頼む。部下一同
サガ「どうして電報風になっているのだ・・・・しかも内容が取り扱い説明ではない」
ラダ「俺がノイローゼだと?馬鹿な!」
カノン「・・・追伸。自覚症状がないと思われるので、こちらに戻ってこようとしたら何がなんでもとめてくれ。聖闘士ならばできるだろう。くれぐれもよろしく。・・・だそうだ」
ラダ「一体何の陰謀だ!?俺は帰るぞ!邪魔をしたな!」
サガ「まて、ラダマンティス」

 即座にきびすを返した男を、サガの静かな言葉が止めた。
 いや、言葉というか、そのが。

ラダ「な、なんだ・・・体が動かん・・・!」
サガ「安心しろ。今の一撃は単に貴様の中枢神経を刺激し、ほんの数秒身動きを取れなくしたにすぎん
カノン「・・・・サガ・・・・ラダマンティスは一応、客・・・・」
サガ「いくらかつての敵の頼みとは言え、聖闘士としての誇りを頼っての依頼とあらば、この仕事放り出すわけにもいかん。ここで大人しく、静地療養してもらうぞラダマンティス」
ラダ「ぐっ・・・・誰がっ・・・」
カノン「ラダマンティスよ。大人しくきいておけ。スニオン岬に繋がれるぞ。恐いのだ、サガは」
サガ「黙れ、カノン。いいか、私はこれから一度冥界に行って、冥闘士どもの真意を聞いてくる。あの説明書では何もわからん。そのあいだ、お前はこの男の相手をしているのだ。そして部屋を片づけろ。くれぐれも病人を刺激する事の無いようにな。不始末があったらただでは置かんぞ。よいな!」
カノン「わ、わかった。・・・そんなに片づけて欲しいか部屋・・・」

 かなり気迫のこもった顔で命じるサガに、カノンはとりあえず肯いておいた。
 そして、ラダマンティスに小さな声で、

カノン「いいか。わがままを言うなよ。どうせツケは俺にまわってくるのだからな」
ラダ「う・・・」

 ラダマンティスも、ツケの悲しさはいやというほどよく知っていた。
 かくして、彼は非常に不本意ながら聖地での療養を余儀なくされたのである。



カノン「ラダマンティス。そこに座っていろ。俺だって客の扱い方ぐらいは心得ている。茶ぐらい出すぞ」
ラダ「あ、ああ・・・すまんな」

 勧められた椅子に、折り目正しく腰掛ける冥界の実力者。

カノン「コーヒーと紅茶とどっちがいい?」
ラダ「紅茶を頼む」
カノン「よし」

 しばらくして、カノンはティーカップに入った暖かい飲み物を二つ、自分と客の前に並べた。
 ふっ、と照れくさそうに微笑んで、

カノン「どうした。遠慮せずに飲んでくれ」
ラダ「・・・ああ。礼を言う」

 ラダマンティスは神妙な顔でお茶をすすった。長年の苦労を刻み込んだ顔はぴくりとも動かず、何をしゃべっていいのかわからないのだろう、言葉もまた無かった。
 カノンもお茶を一口飲んだ。そしておもむろにカップを置き、話を切り出した。

カノン「・・・・・・ラダマンティス。一つだけ、お前に言っておきたいことがある」
ラダ「・・・・・なんだ?」
カノン「まずかったらまずいと言え!何だこれは!紅茶ではないではないか!!」
ラダ「お前が驚いてどうする!!俺はてっきり嫌がらせかと思ったわ!!一体何をどう煎れたのだ!!」

 二人のカップの中に入っていたのは、正真正銘のコーヒーであった。
 しかし、ティーポットで煎れたので異様にカスが多い。
 「コーヒーか紅茶か」と聞かれ、「紅茶」とこたえたにもかかわらずコーヒーを持ってこられたラダマンティス。嫌がらせと思ったのも無理はない。

カノン「むう・・・口の中がカスだらけだ。仕方ない、今度こそ本物の紅茶をいれて口直しを・・・」
ラダ「待て!お前はここに座っていろ!紅茶なら俺がいれる!!」
カノン「しかし、客にそんなことをさせるわけには!」
ラダ「いや、むしろやらせてくれ。このままお前に任せておくと、次はきざみ海苔あたりで茶をいれるような気がする・・・・!」

 ラダマンティスのたっての願いにより、その場の紅茶は客人がいれることとなった。
 待つこと数分。
 あたらしく出てきたお茶は、文句無しにうまかった。

カノン「うまい!何をやったのだ?」
ラダ「普通に紅茶をいれたらこうなるはずだ。もっとも、俺は多少手慣れているのかも知れんが・・・」

 ラダマンティスの出身は、茶葉の本場イギリスである。

カノン「どちらが客だかわからんな・・・・・ところでラダマンティス。お前、ここに運ばれてこられる心当たりがあるか?」
ラダ「さっきも言ったように、俺には自分がノイローゼだという気は欠片も・・・」
カノン「いや、そうではない。病のことはひとまず置いといて、静地療養という言葉が出た時に、聖域の俺のところに運ばれてくるような心当たりがあるかと聞いているのだ。なんでオレなのだ?自分で言うのもなんだが、それほど療養にならないのではないか?」
ラダ「ああ。それは俺も思うのだがな。紅茶がこれだし・・・。あいつら、一体何を考えているのかよくわからん。だが・・・・・」
カノン「だが?」
ラダ「・・・・・・・・・・・いや、なんでもない」

 ラダマンティスは何気なく目をそらして紅茶を飲んだ。その様子から、しゃべりたくなさそうだと判断したカノンは、それ以上きこうとはしなかった。

カノン「・・・まあいい。友、遠方よりきたる、だ。ゆっくりしていけ、ラダマンティス」

 ラダマンティスの目が、ほんの少しだけ驚いたように大きくなった。




 一方その頃。
 早々と冥界に到達していたサガは、バレンタインの出迎えを受けていた。

バレン「な、なんだ!?早くも返品か!?」
サガ「いや違う。あの荷物は責任持って預からせてもらうが、説明書があまりに不親切なのでな。詳細を聞きに来た。話してもらおうか。どうしてこうなったのか」
バレン「そ、そうか・・・」

 バレンタインは冥界の多忙から始まるラダマンティスの悲劇を訴えた。

サガ「なるほど・・・・それで?」
バレン「それで?それで全部だ」
サガ「そうかな?もう一つ聞かせてもらい事があるぞ。なぜ、カノンなのだ?兄が言うのもなんだが、あんなやつのところに置いといてはノイローゼが治るどころか円形ハゲまで併発すると思うのだが」
バレン「それは・・・・」

 と、冥界の若者はちょっとひるんだ。が、やがて、

バレン「・・・ラダマンティス様がな。もし自分に友人がいるとしたら、カノンがそうだとおっしゃっていたことがあるのでな」
サガ「ほう?いつ?」
バレン「聖戦が終わったあと、しばらくしてだ。カノンなら、腹を割って話もできようと。まっすぐないい男だと。
・・・・ただ、あいつが俺をよく思っているはずは無いから、やはりそれは友人ではないともおっしゃっていた。それでも、あの方に信頼できる人間がいるのなら、その側にいさせて差し上げたいと思ったのだ」
サガ「・・・・ふむ」

 サガの口元に微笑が浮かんだ。

サガ「ラダマンティスほどの男が、うちのろくでなしを認めてくれたとはな。だが、こうまで上司を気遣うお前達がいるというのに、それでもカノンが必要か?」
バレン「仕方が無い。私たちはラダマンティス様に絶対の信頼を寄せているが、あの方は部下に頼ることなど考えもしない人間だ。そういう弱みは見せてくれん。同じ職場である限り、不可能なことだ」
サガ「なるほど。・・・・よくわかった」

 サガが優しい顔になって肯いた時であった。
 二人の向こうから、雑兵が一人、泡を食って飛んできた。

雑兵「バ、バレンタイン様!!もう駄目です!!血の大瀑布の堤防の決壊は時間の問題です!!」
バレン「何!?くそっ、ラダマンティス様がお留守の間に、そんな不始末を起こせるものか!!なんとかしろ!!」
雑兵「どうしようもありません!それに、また追加で200人の死者が入りました!ただでさえ始末に困ってる罪人どもが一万越えてるって言うのに、もう本格的に駄目です!!」
バレン「ええい、泣き言を言うな!!」
サガ「・・・色々大変そうだな。やはりラダマンティスがいないのは痛いと見える」
バレン「あたりまえだ!!だが、我々はやらねばならんのだ!!用が済んだらとっとと帰ってくれ!見ての通りこちらは忙しいのだ!!」
サガ「まあ、そう剣呑になるな。私の愚弟を褒めてくれたお前達だ。その信頼する上司のために、私も一肌脱いでやる」

 サガはにやりと笑ってそういうと、呆気に取られているバレンタインをしりめに、ずかずかと冥界の中心部に入っていった。

ゴードン「サガ!?何しに来た!?返品か!?」
サガ「その話はもう済んだ。お前達の力になってやると言っているのだ。まずは血の大瀑布について聞かせてもらおうか」
シルフィード「っ!でしゃばった真似を!!この冥界、聖域のものごときの手におえるところでは・・・!」

 わめきかけたシルフィードの舌を、サガは中枢神経の操作により一瞬でしびれさせる。

サガ「事は一刻を争うのだろう?ぐだぐだ言わずにさっさと話せ」

 ・・・・恐い。

バレン「血の大瀑布は・・・この冥界で地獄に落ちた罪人どもの血と涙が集まって流れる瀑布だ。最近死者が激増しているので、水量も増えてな。堤防が破裂寸前なのだ」
サガ「ならば堤防を増強すればいい。したのか?」
クィーン「馬鹿が!そんなことはこちらも考えた!だが、地獄の鬼どもは皆罪人どもの相手で手いっぱい。ただでさえ人手が足りんのに、堤防強化にさける人員など・・・」
サガ「馬鹿は貴様だ。一万越える、無意味な死者がうろうろしているのだろう?そいつらを使え。労働はいつでも地獄の代わりになりうる。それこそ、駄馬のように鞭打ってこき使え!今晩中に堤防ができなければ全員火あぶりにするとでも言っておけば、必死になってやるだろう」
バレン「う・・・・・な、なるほど;」
ゴードン「しかし、まってくれ。堤防の材料になる資源も無いのだぞ!?」
サガ「フン、よく目をかっぴらいて探したのか?確か地獄には堤防造りにちょうど良い、でっかい岩がゴロゴロしている場所があっただろう」
クィーン「だ、第三獄のことか・・・?馬鹿な!!あそこは岩を山頂まで転がしつづけるという地獄なのだぞ!?そこから岩を持ってきたら地獄の機能がストップするだろうが!!」
サガ「だからお前達はつかえんというのだ。頭が固すぎるわ馬鹿ども」
ゴードン「な、なんだと!?」

 気色ばむミノタウロス。だが、サガはそんな彼を鼻で笑い飛ばした。

サガ「非常時においては臨時の改変もやむをえんのだ。その第三獄とやらを、岩を使わん地獄にすればいい。罪人どもを徹底的に山の上から突き落とせ!!いままで山に岩を押し上げる地獄だったのを、山から人間を転がし落とす地獄にすればいいのだ。わかったか!すぐに第三獄から岩を運べ!!血の大瀑布に集めるのだ!!」
雑兵「は、はいっ!」
バレン「あ、あの・・・・・・あそこの岩は丸いので、どう並べても隙間ができるのだが、それは・・・」
サガ「隙間?そんなもの、罪人どもを丸めて詰め込んでおけ。大工事に人柱がいるのなど、歴史の上では当然だ。どうせ1万からの死者がいるのだ。遠慮せずにどんどん使え」
バレン「・・・・・・・・・・・・・・・・はい」

 なぜか、水を得た魚状態のサガ。
 雑兵達を集め矢継ぎ早に指示を飛ばす彼を、冥闘士達は血の気の引いた顔で眺めていた。

ゴードン「すごい・・・・・・・・・人がゴミのようだ・・・・・」
クィーン「本当に彼は、平和を愛するアテナの聖闘士なのか・・・・?どう考えても納得できん・・・・」
バレン「鬼だ・・・・・まさに鬼・・・・」

 しかし、そんな一匹の鬼のおかげで冥界は急速に立ち直っていく。

サガ「ミュー!お前、たしかフェアリーだかなんだかいうものを使えるのだったな?」
ミュー「は、はい」
サガ「一匹かせ。カノンに手紙を送りたいのだ」
 




カノン「・・・・サガめ・・・また勝手なことを」

 冥界からの手紙を読んだカノンは、眉をひそめて呟いた。

ラダ「どうしたのだ?」
カノン「サガからだ。なんでも、冥界で仕事をすることになったので当分帰ってこれなくなったらしい」
ラダ「仕事?まさか・・・俺の代わりにか!?」
カノン「そのようだな」
ラダ「馬鹿な!!あの職場は結構きついのだぞ!?そう簡単に務まるはずが・・・!」
カノン「サガのことなら心配はいらん。曲がりなりにも13年間教皇やってきた男だ。しかも他人を騙しながら。仕事はできるはずだ。・・・・それより心配なのは、あれに使われるお前の部下達の方なんだが・・・」
ラダ「バレンタイン達なら大丈夫だ。あいつらは冥界の仕事にもなれているし、補佐の仕方も知っている」
カノン「いや、そういう意味ではなく・・・・・・なんかこの乱雑な筆跡から見るに、既に黒くなってるんじゃないかと・・・・」
ラダ「くろ?」
カノン「・・・・いやいい。こっちの話だ。それよりどうする?サガが帰ってこないとなると、今日の晩飯を作る人間がいないんだが」
ラダ「今まで兄に作ってもらってたのか・・・?一体今年でいくつだお前・・・・」
カノン「年の話はするな。ラダマンティス、お前何か作れるか?」
ラダ「既に客ではなくなっているのだな、俺は。なめるなよ。俺の母国はキュウリを鍋で45分煮る国だ。そんな俺に何ができる」

 ラダマンティスの出身は、料理のまずさで有名な国、イギリスである。

カノン「キュウリで45分か・・・・カブは?
ラダ「カブも45分だ。とにかく、野菜は全て皮を剥いて鍋に放り込んで色素が抜けるまで茹でろと教えられた。それがイギリスだ」
カノン「・・・・・・・・・・」
ラダ「冥界に来てからだ。野菜が生でも食えるものだと知ったのは。ショックだった・・・」
カノン「・・・・わかった。野菜はよそう。肉はどうだ?」
ラダ「肉は・・・・塊のままオーブンに放り込んで焼くものだと思っていたが・・・」
カノン「よし。肉も駄目だ。魚は?」
ラダ「魚は、開いて揚げるものだ」
カノン「比較的まともな答えだな・・・・それでいくか」

 しかし、冷蔵庫に魚はなかった。

カノン「サガの馬鹿!!アホ!!どうして魚ぐらい買っておかんのだ!!」
ラダ「妙に微笑ましい愚痴だな・・・仕方ない。何があるのだ?」
カノン「卵と、タマネギと、人参と、挽肉と・・・・・」
ラダ「挽肉か。ハンバーグぐらいは作れるのではないか?」
カノン「作り方、わかるか?」
ラダ「・・・・・・・・・・・パン粉と人参、どっちが先だ?」
カノン「俺に聞くな」

 30分後。
 カノンは巨蟹宮から、正しいハンバーグの作り方を聞いて来た。

カノン「とりあえず、ハンバーグに人参は入れない、ということだった」
ラダ「そうか。新しい発見だな。で、どうつくるのだ?」
カノン「何だか色々言っていたが、ようするに全部混ぜ込んで焼けばいいのだ。恐るるに足りんやるぞ、ラダマンティス!」
ラダ「お、おお」

 二人は材料との挌闘を始めた。
 途中、ラダマンティスは挽肉でぐっちゃになっているカノンを見、思わず笑った。

カノン「・・・・・なにがおかしい」
ラダ「ここに来るまでのお前のイメージとあまりに違うのでな。こんなに可愛い人間だとは思わなかったぞ、カノン」
カノン「フッ、俺だって、お前がキュウリを45分煮る男だとは思わなかったさ」
ラダ「・・・いや、そういうカテゴリーで分けられたくはないんだが・・・偏執狂みたいではないか、俺が」
カノン「・・・よし。混ぜるだけ混ぜた。後はこれを焼けば良いのだな?」
ラダ「そうなんだな?」
カノン「何か入れ忘れているものがあるか?」
ラダ「挽肉はいれたし・・・」
カノン「それはいれるとかそういう以前の問題だろう。タマネギよし!パン粉よし!卵よし!問題ないな。焼くぞ!」

 しかし、二人は忘れていた。
 塩・コショウを入れるのを。
 
カノン「味が無い!!ふざけるな!なんなのだこの素材の風味が生きたハンバーグは!!」

 出来上がった料理を一口食べるなり絶叫するカノン。
 その前の椅子では、ラダマンティスがどこか遠い眼をしながら、

ラダ「塩気のまったく無い食べ物か・・・・フ、祖国を思い出す」
カノン「お前の祖国はどういう国だ!!おのれ、ラダマンティス!!あれだけ何か入れ忘れたものはないか聞いたろうが!!」
ラダ「俺のせいにする気か!?このハンバーグの責任者はお前だろう!!どうして塩コショウに気づかなかったのだ!!」
カノン「いちいち説明してやる義務はない!!くらえ!ギャラクシアン・エクスプロージョン!!」
ラダ「往生際が悪い!!グレイテストコーション!!」

 まずい食事は殺気すら呼び起こす。
 その後、二人はお互いが意識不明になるまで力いっぱい技を炸裂させ、過酷な食事(?)を終えたのであった。




 翌朝。目が覚めた二人は、散々な顔を見合わせて苦笑しあった。
 
カノン「・・・昨日はすまなかったな。二十歳をすぎた男二人がハンバーグで喧嘩とは少しばかり大人げが無かった」

 少しどころじゃないだろう。

ラダ「まったくだ。つまらんことでムキになって俺の方こそ悪かった。誰にだってうっかりすることはあるものだ。塩とコショウを入れ忘れたぐらいでお前を必殺技にかけるなど・・・」
カノン「待て。その言い方だと、塩コショウを入れ忘れたのは俺のように聞こえるが?」
ラダ「何?まさかまだ、あれは俺のせいだと言いはる気ではあるまいな?」
カノン「・・・・・なるほど。どうあってもサシで決着をつけたいらしい。そうだな、ラダマンティス!」
ラダ「いいだろう。望むところだカノン!」

 どこまでも大人げの無い二人だった。
 たぶん、人生のターニングポイントとも言える大事な時代を異質な環境で過ごしたせいだろう。
 各界の実力者二人が繰り広げる壮絶な爆音の嵐は、聖域中に響き渡った。
 隣の巨蟹宮では、さすがに不安を覚えて様子を見に来たその他の黄金聖闘士達が遠巻きに様子をうかがっている。

ミロ「くそっ!もう我慢できん!!何が起こっているのか、見に行く!!」
シャカ「やめたまえ。君の場合、単に見に行くだけにはとどまらない。ムウも一切ほっておけとテレパシーで言ってきた」
アイオリア「またあいつか・・・しかし、こんな様子を目の前に見て何の行動も起こさんやつは、もはや男として認めん!」
デス「いいんじゃねえの?昨日カノンが来た時、がいるからハンバーグを作るとかいってたしよ」
シュラ「どういう客だ・・・わからん。双児宮で一体何が・・・」
カミュ「誰が来て何をしようと邪魔にならなければ結構だが・・・少々耳障りすぎるな」
アフロ「デスマスク。隣なんだし、さりげなく様子を見に行ってこい」
シャカ「そうだ。行って来い」
デス「冗談じゃねえぞ。巻き添えくったらどうしてくれる」
シャカ「大丈夫だ。ちょっとこう、同じアパートの住人みたいな感じで様子を見てくればいいのだ」
シュラ「それは無理があるのでは・・・;」
アフロ「そしてできれば黙らせてくれ。頼んだぞ、デスマスク」
デス「アパートの住人ねえ・・・」

 損な役だよなとぼやきつつ、デスマスクは階段を下った。
 双児宮の前で一息いれて。
 よし!

デス「おい!上の階のもんだけどな!あんたら一体今何時だと・・・・って、ラダマンティス!?」
ラダ「ん?・・・・フン、雑魚か
デス「ああ!?なんか言ったか貴様!!どこから潜り込みやがったこのゴキブリが!!」
カノン「デスマスク!手出しは無用だ・・・この男は俺が倒す!!」
デス「倒すって・・・どういうことだカノン!聖戦が再発したのか!?」
カノン「関係ない。これは男と男の勝負だ!!誰にも邪魔はさせん!!」
デス「男と男の勝負・・・・」
カノン「そうだ!俺はどうしても、こいつに勝たねばならんのだ!身の潔白を立てんがために!!・・・いくぞラダマンティス・・・ネオ・ギャラクシアン・エクスプロージョン!!
ラダ「貴様の技は既に見切った!!食らえ!グレイテストコーション・マックス!!」
デス「・・・・・・・・・・」

 二人の気迫に圧倒されて、デスマスクは首をひねりつつ元来た道を帰った。

アフロ「どうだった!?」
デス「いや、なんかな・・・・深刻な問題らしくてな。ラダマンティスとカノンが戦ってたぞ」
ミロ「ラダマンティスだと!?」
デス「ああ。男と男の勝負だから、誰にも邪魔はされたくないそうだ」
アイオリア「・・・・そうか。男の美学の問題なら、このアイオリア、とやかくは言わん。存分にやれ」
シュラ「ひょっとして、カノンは前にミロにやられたことと同じことをラダマンティスに・・・ミロ、贖罪のためのスカーレットニードルをカノンに撃ったことがあっただろう?」
ミロ「あ、ああ。そうか!それで!」
デス「いや、それとは違うっぽかったけどな・・・オリジナル必殺技も開発してたし・・・」
アフロ「・・・というか、いくら贖罪のためでも、ギャラクシアン・エクスプロージョンをまともに受けたら死ぬと思う・・・」

 彼らは知らない。全てがハンバーグのせいだとは。
 聖域の住人を面食らわせたまま、カノンVSラダマンティスの名誉をかけた戦いは、それから三日三晩続いたのだった。




 三日目。
 相変わらず宿敵と睨み合っていたカノンは、あたりをひらひらと舞う蝶の存在に気がついた。

カノン「ラダマンティス!ちょっとタンマ!!サガから手紙だ!」
ラダ「何・・・?」

 一時休戦して、フェアリーから受け取った手紙を読むカノン。
 その顔色が見る見るうちに変わった。

カノン「・・・・まずい!サガが今日帰って来る!!」
ラダ「な、なんだと!?」
カノン「仕事が思ったより早く落ち着いたので予定を切り上げた。今から帰る、とある!し、しまった!!」
ラダ「旦那の留守に浮気をしていた人妻のようだなお前・・・・何がそんなにまずいのだ」
カノン「・・・・・・・・部屋の片付けをしていない
ラダ「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 二人は初めて冷静になってあたりを見回した。
 目に映るものは全て、変わり果てた双児宮の瓦礫の山、山、山・・・・・

カノン「いかん・・・・本格的に殺されてしまう!!ど、どうするラダマンティス!」
ラダ「神をも恐れぬ男のくせに自分の兄貴は恐いのだな
カノン「お前はサガがどんなに恐いか知らんのだ!!くそっ!今から急いで片づけるぞ!手伝え!」
ラダ「片づけるといっても・・・まずは土木工事から始めねばならんような気が・・・・」

 その後。
 自分達の手には負えないことを悟ったカノンは白羊宮に駆け込み、ムウを無理矢理引っ張ってきてテレキネシスで双児宮を建て直してもらった。

カノン「すまん、ムウ!恩に着る!」
ムウ「まあ・・・・帰って来た早々この有り様ではサガが気の毒ですからね・・・・」

 すっかり呆れ口調のムウが帰った後で、残った部屋の備品や小物を全速力で片づける。

カノン「・・・・・・・よし、終わった。サガめ、来るなら来い!!」
サガ「では、お言葉に甘えようか」
カノン「うわっ!?」

 背後の声に飛び上がるカノン。

カノン「サガ!貴様、いつからそこにいた!?」
サガ「『おまえはサガがどんなに恐いかしらんのだ』あたりからか。面白いので見物させてもらったぞ」
ラダ「・・・・ならほとんど最初からいたのだな・・・・フェアリーの意味がないぐらいのタイミングで」
サガ「カノン。お前はそんなにこの私が恐いか?(にっこり)」
カノン「・・・・・・・・・・・・(滝汗)」
ラダ「やめてやれ・・・・今まで闘っていたとは言え、なんだか可哀相になってきた」
サガ「闘っていた?」

 カノンに非常に優しい笑顔を向けていたサガが、振り返って眉根を寄せた。

サガ「なぜだ?カノンがまたなにかどうしようもないことをしたか」
カノン「違う!!俺ではない!ラダマンティス、貴様まだ人のせいにする気か!!」
ラダ「お前こそいい加減にしろ!!塩・コショウを入れ忘れたと素直に認めたらどうだ!!」
サガ「なるほど。そういうくだらん争いか。・・・もういい、わかった。私が罪をかぶろう。塩・コショウを入れ忘れたのはこのサガだ。これで文句はあるまい」
ラダ「いや、そんな物理的にありえない解決案を出されてもだな・・・」
サガ「大体ラダマンティス。争っている場合ではないぞ。迎えが来ているのだから」
ラダ「何?」

 その時になって初めて彼は気づいた。
 サガの後ろに、蝶というよりはさながら瀕死のウスバカゲロウのごとくやつれ果てたミューがいることに。

ラダ「ミュー!?お前、どうしたのだその死相の浮いた顔は!!」
ミュー「い、いえ・・・お気にかけて頂くほどのことではございません」
カノン「(サガのせいだ・・・ぜったいサガのせいだ・・・・;;)
サガ「どうした?カノン。何か言いたそうだな
カノン「!そ、そんなことはない!」
ラダ「すまんな、ミュー。俺の留守中、地獄をきりもりするのは大変だっただろう。俺はもう大丈夫だ。すぐに仕事に戻るから安心するがいい」
ミュー「ラダマンティス様・・・!」

 瞳に涙を浮かべて喜ぶミューを、ラダマンティスは不思議そうに眺める。
 それから、カノンに向き直った。

ラダ「カノン・・・・いろいろ迷惑をかけたな」
カノン「ああ、お互いにな。それより、ノイローゼはもういいのか?」
ラダ「うむ。この3日間で存分に発散できたからな」
カノン「フッ、何よりだ」
ラダ「それではな。・・・・・・ああ、そうだカノン」

 ラダマンティスは去り際に、ちらと振り返った。
 
ラダ「お前、俺を友と言ってくれたな。・・・・・嬉しかったぞ」

 そしてかすかに微笑んだかと思うと、擦り切れた部下を半ば引きずるようにしてその場を去ったのであった。

カノン「・・・・・・・・・・」
サガ「どうした?」
カノン「いや・・・なんでもない。あいつの煎れた紅茶は美味かったのだぞ」
サガ「?そうか?それよりカノン。留守中の出来事についてだが」
カノン「う・・・・っ」
サガ「そうびくつくな。結局はまあ何とか片付いたようだし、今回は大目に見てやろう。今の私は機嫌がいいのだ」
カノン「機嫌がいい・・・?」
サガ「ああ。この3日間で存分に発散できたからな」

 こたえて、サガはにっこり微笑んだ。
 



 冥界に戻ったラダマンティスが見たものは、異様にパワーアップしている地獄と、ほとんど完全燃焼して骨と皮ばかりになっているなつかしい部下達の姿だった。

バレン「ラダマンティス様!!皆!ラダマンティス様が帰ってきたぞ!!」
部下一同「うおおおおおおーーーーっっ!!!」
ラダ「な、なんだ?何を泣いているのだお前達!?」
バレン「ラダマンティス様・・・・私はこの3日で骨の髄まで染みて知りました・・・・地獄にも慈悲は必要です!!」
ゴードン「俺は二度と!二度と平静な気持ちで眠ることはできん!いっそ出家したい!!
シルフィード「もう嫌だ・・・聖域の人間はもう嫌だーっ!!」
ラダ「???(汗)」

 自らの病を克服して帰郷したラダマンティス。
 今度は部下達の集団ノイローゼについて、彼が頭を悩ませる番だった。


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