貴鬼を可愛がる蟹と山羊
デスマスクは貴鬼のような元気の良いガキんちょがいると見つけ次第遊ぶ。



 ムウ様のお供で聖域に来た貴鬼。ムウ様がお仕事の間、後学のために聖闘士の修行を見ていらっしゃい、と言われて修行スペース(付近の荒野)へやってきたところ、タチの悪いのに見つかってしまいました。

デス「お、その眉毛!ムウんとこの弟子ってもしかしてお前か!」
貴鬼「そ、そうだよ。ムウさまの一番弟子、アッペンデックスの貴鬼とはオイラのことだい!」
デス「アッペンデックス?アッペンデックスっつーの!?ぎゃはははは!!」
貴鬼「な、なんだよ!何がおかしいんだよ!」

 むきになる貴鬼ですが、相手は「修行かあ・・・めんどくせえなとなどとだらけかけていた蟹です。これはいいオモチャを見つけたとばかりに遊ばれ始めました。

デス「お前大丈夫?あんな性格悪いのの弟子で!」
貴鬼「!ムウさまは性格悪くなんかないっ!」
デス「なんだよ〜一番弟子のクセに知らねえのかよ〜。マジで?え、じゃあアノコトも知らねえのもしかして?」
貴鬼「・・・あ、あのこと?」
デス「あ〜知らねえんだな。教えてやろっか。実はムウはなぁ、白羊宮にいると・・・・・いややっぱり言うのやめた
貴鬼「な、なんだよ!そこまで言ったら教えろよ!」
デス「いやぁ、ガキに言ったら恐くて泣きべそかくかもしれねえし〜。お前泣かすとムウに怒られそうだし〜
貴鬼「ガキじゃない!!オイラだってれっきとした聖闘士なんだから!!」
デス「へーほー。あれ?じゃあ聖衣は?アッペンデックス座の聖衣はどこですか〜?」
貴鬼「!!っこの!!」

 貴鬼は蟹を一発ぶん殴ろうと飛び掛ります。
 しかしデスマスクはひょいひょいよけながら、「くらえ!アッペンデックス最大の奥義!ザ・オマケノイチゲキ!などといらぬナレーションをつけてきます。ムカつきます。
 腹立つあまり若干涙目になりながら貴鬼がデスマスク相手に奮闘していると、遠くから蟹がまたバカなことやってると見たシュラが回収しにやってきました。

シュラ「おい、デスマスク。子供相手にお前何をやって・・・」
デス「おうシュラ。ムウんとこの弟子だってよこいつ」
シュラ「ムウの?お前がか?」
貴鬼「そうだよ!」
デス「名前聞いてみろ名前」
シュラ「名前・・・いや、俺は聞いたことがある。確か、貴鬼、だったか」
貴鬼「そうだよ!オイラがアッペンデックスの貴鬼だいっ!」
シュラ「アッペン・・・、クっ!

 とたんに爆笑するシュラ。

シュラ「弟子にどんな名前つけてるんだあいつは!」
デス「だろ?やっぱ性格悪ぃよなあ!」
シュラ「意外とな」
貴鬼「ムウさまの悪口言うなっ!!お前らなんかオイラのテレキネシスでやっつけてやる!」
デス「おいおいガキ、やめとけって。俺はいいけどこっちのお兄さんは実力も無いクセにでかい口をたたく奴が嫌いなんだぞ」
シュラ「デスマスク。からかうな」

 さて、そうこうしているうちに、仕事を終えたムウが弟子を探しにやってきました。

ムウ「貴鬼、遅くなりました・・・・」

 と呼び寄せかけて。
 大事な弟子が情操教育に大変よろしくない大人たちに囲まれて泣きそうになっていることに気づき、目つきが変わります。

ムウ「デスマスク!うちの貴鬼に何してるんですか!」
貴鬼「!ムウさま!」
デス「やべっ、PTA来た!!逃げるぞシュラ!」
シュラ「俺!?俺は別に何も・・・・おい待て!」

 一目散に逃げる蟹。つられて逃げる山羊。
 ムウは彼らの背中を睨んでから、駆け寄ってきた貴鬼のためにしゃがみました。

ムウ「遅くなってすみませんでしたね。貴鬼、今の人たちにひどいことをされませんでしたか?」
貴鬼「あいつら、ムウさまの悪口言った!」
ムウ「それだけ?」
貴鬼「あと、オイラの名前が変だって・・・アッペンデックスがおかしいって。ムウさま、アッペンデックスってどういう意味?」
ムウ「いつも私と一緒にいて欲しいという意味ですよ。おかしいなんて、あの人たちはどうかしてます」

 ムウがにっこり微笑んで言ってくれたので、貴鬼は安心しました。そしてちょっと誇らしくなりました。


 ・・・後日、「先日は貴鬼と遊んで下さってありがとうございました。お礼に今日は、私があなたがたと遊んで差し上げます」とにこやかにやってきたムウにより、蟹と山羊はかなりキッツイ目にあったのでした。





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