2003年冬コミにて、私は某方からとても萌えなお話を聞かせていただきました。
 何でも、世の中には十二星座で占う掃除の仕方占いというものがあり、それの蟹座と魚座と山羊座のパターンを聞いた私はトチ狂うほど萌えあがったのでした。丁度時期は年末大掃除。奴らの掃除パターンを一挙ご紹介です。





 明日は新年という大晦日。アフロディーテは双魚宮の大掃除をしてガラクタの山に埋もれていました。最初は張り切って棚を空けたり本棚を空にして揃えなおそうとしたりしていたのですが、そうこうしているうちに散らかり放題散らかって収集がつかなくなったのです。片付けても片付けてもちっとも片付かない無駄な物の数々に、いい加減嫌気がさしてきました。猫の郵便受けをカパカパさせながら一人ふてくされて文句を言っています。

アフロ「もう片付けようにも場所が無い!去年の大掃除でちゃんと片付いていた物がどうして元に戻らなくなったのだろう。・・・腹圧?」

 占いによると、魚座の掃除パターンは「やってる途中で煮詰まってむきゃーとなってほっぽり出してお終いだそうです。
 アフロディーテもやはりむきゃー!となりました。

アフロ「終わり終わり!!こんな馬鹿げた労働は金輪際おしまいなのだ!どうせすぐ散らかるのだし!今から散らかしておけば手間がはぶけるのだ!」

 しかし、アフロディーテがそんな風に開き直った時、下からダンボールを抱えたシュラがやってきました。

シュラ「おい、アフロディーテ。この一年に積もり積もったお前の忘れ物を届けに来た・・・・・・うわっ!?

 余裕で膝の高さまでガラクタに埋まった双魚宮にびびるシュラ。

シュラ「何だこれは!お前は年末だというのに何を散らかしている!」
アフロ「散らかしたのではない!大掃除だ!でも、片付けようとしたのに片付いてくれないからもうやめた!」
シュラ「阿呆!!お前がちゃんと片付けなければ教皇の間へ通れないだろうが!どうにかしろ!」
アフロ「無理だ。なぜなら、散らかした物に腰まで埋まって動けないから
シュラ「おい!;」

 シュラはひとまずダンボールを入り口において、ガラクタの海をかき分けて救助に来てくれました。
 溺れている魚を引っ張り上げます。

アフロ「ありがとう。・・・君はもう磨羯宮の掃除は終わったのだろうか」
シュラ「とっくにな」

 山羊座の掃除パターンは「元々必要最小限のものしか置いていないのできちんと片付けられる」です。十二星座の中でも2番目に掃除上手な星座なのです。ちなみに一番は乙女座です。

シュラ「しっかりしろ。全部片付けるんだぞ」
アフロ「シュラ、掃除上手な君に聞きたいのだが、どうすれば効率よく片付けられるのだ?」
シュラ「そうだな。とりあえず、床にあるものは全部捨てろ。話はそれからだ」
アフロ「そんな!捨てるだなんて、ゴミではあるまいし!!」
シュラ「どう見てもゴミしか無いだろう。その猫の郵便受けなど何に使うのだ」
アフロ「何って、手紙や新聞を受け取るのに」
シュラ「十二宮突破してこんな場所まで届けに来る配達人がいるか!こっちのでかい器具は何だ?」
アフロ「ぶら下がり健康機」
シュラ「捨てろ。というか買うなそんなもの・・・;

 こうしてついつい流れで双魚宮の掃除を手伝う事になったシュラ。手伝うというより、むしろ彼が主催です。アフロディーテは離れたところで郵便受けをパカパカさせながら、駄目出しをしています。

アフロ「それは捨てては駄目だ!そっちのも駄目だ!それも駄目!駄目!とっとく!」

 ・・・・ついにシュラが切れました。

シュラ「ええい鬱陶しい!!お前はデスマスクのところにでも行っていろ!双魚宮は俺が片付ける!!」

 言っちまいましたこの男は。

アフロ「でも、私のいないうちに君は双魚宮ごと捨てたりしないだろうか」
シュラ「したいのは山々だがそこまではせん!俺がゴミだと思ったものは外にまとめておくから後で漁れ!」
アフロ「シュラ、どうせ片付けてくれるのなら、ついでに模様替えもしてパリの上流階級の部屋みたいにしてほし・・・
シュラ「出て行け」

 魚はぽいっと表に放り出されてしまいました。

アフロ「うう・・・・・私の宮なのに・・・・」

 今さらそんな事を言っても遅すぎます。
 アフロディーテはしょんぼりと階段を下り、結局やっぱり巨蟹宮に辿り着きました。

アフロ「デスマスク!聞いてくれ、シュラがひどいのだ!」

 そう叫びながらたったか駆け込んで言ったところ、出てきたのはこんな男でした。




















「おう、どうしたテメー」




アフロ「・・・どちらの族の方でしょうか」
デス「誰が族だ!大掃除ファッションだろうがよ!見てわからねえのか阿呆!!」
アフロ「見てわかるのはただひたすら恐いという事だけのような気が・・・手に持っているのがホウキだとわかっていてもタコ殴りされそうなのだ
デス「うるせえな。邪魔しに来たのかてめえは」
アフロ「違う。双魚宮の大掃除の地位をシュラに乗っ取られてしまったのだ。シュラは私の物を片っ端からゴミだと言って外に捨ててしまうのだが、とうとう私もポイ捨てされてしまった・・・どこにも居場所が無いのだ。巨蟹宮に置いて欲しい」

 アフロディーテは今にも年末の首都高を快音鳴らしてぶっぱしりそうな蟹に擦り寄ってお願いしました。
 ついでにまだ持っていた猫の郵便受けを賄賂として差し出してみました。
 しかしそんな物をもらわなくとも、据え膳が出前で到来したような機会をデスマスクが逃すはずもありません。
 ・・・と、思いきや。

デス「んなこと言われてもなあ。掃除中に物が増えんのは困るんだよな」

 なぜか年末のこの日だけ大掃除の鬼になっていました。

アフロ「ど、どこか隅っこの方でいいのだ。邪魔にならないようにするから居させて欲しい」
デス「仕方ねえなあ・・・・ちょっと待ってろ。今お前を片付ける場所を作るからよ。そのフザケた郵便受けは中に入れるなよ。俺はそんなもんいらん」
アフロ「・・・はい」

 アフロディーテは郵便受けを下に置き、大人しく巨蟹宮の入り口で待ちます。
 一度奥に引っ込んだデスマスクは、20分ほどするとまた戻ってきて問答無用で魚を運び、巨蟹宮の寝室のベッドの上に片付けました。

デス「てめえはそこに置く事にした。掃除が終わったら色々かまってやるからそれまで待っとけ」
アフロ「・・・・・・・・・・」

 釈然としない物を感じながらも一応頷くアフロディーテ。
 けれども、デスマスクが部屋から出て行こうとしたときはもじもじと声をかけました。

アフロ「デスマスク。待ってるから、できるだけ早く掃除を終わらせて欲しい。君と一緒に年越しをしたいのだ」
デス「わかったわかった」

 デスマスクはぽんぽんとアフロディーテの頭を撫でてあげました。
 そして大掃除に傾倒しまくった心でもさすがに魚が可愛くなったので、猛スピードで仕事を終わらせました。
 埃まみれになった体をシャワーで流して寝室に戻ってきたのは1時間後のことです。

デス「おい、アフロディーテ。終わったぞ」

 濡れて簾になった前髪越しにベッドを覗き、さあお楽しみのお時間です。

 が。

 いざのしかかろうとしてみると、魚は待ってるどころかすっかりまるまっちくなって熟睡しておりました。

デス「・・・・・・・・・・・・・・・」

 ふざけんな、という表情と、ああやっぱりな、という表情を半々にするデスマスク。しばらくじっとその場でアフロディーテを眺めます。
 それから溜息をついて、寝こける居候の上に布団をかぶせてやりました。

 掃除ランク意外と上位らしい蟹座の掃除パターンは次の通りです。
 「大切に思うものしか持たないので、持ってるものは全て大事に片付ける」








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*B様、M様、素晴らしい占い情報をどうもありがとうございました!