以下は、私が2003年蟹ばる出品作「俺の望むもの」で描いてしまった「やさしくしてねv」のあまりの気色悪さに肝臓から腎臓から砂を吐いて現実逃避に走った際の妄想です。2003年6月現在で当館内の一番のエロ。
心して進んでください。
デスマスクの誕生日の前日。アフロディーテはプレゼントを買いました。水色に赤いカニとハートの模様のついた、お前それ一体どこに売ってたよ、というぐらいアサッテな柄のクッションです。
もらう方はちっとも嬉しくないようなシロモノですが、買った本人は嬉しかったので、その日のうちにデスマスクのところにやってきて言いました。
アフロ「デスマスク。明日は君の誕生日だな?」
デス「ん?ああ、そうだったか?」
アフロ「そうなのだ。だからプレゼントを用意したから、楽しみにしていてくれ」
ところがデスマスクの返事はこうでした。
デス「悪ぃ。それ今日のうちにもらうわ。明日は女と約束あるから」
・・・・その直後に勃発した大喧嘩の様子は割愛します。
ともあれ30分後、アフロディーテは泣きながらダッシュで双魚宮に帰ってきました。
怒りに任せて買ったばかりのクッションをひっちゃぶこうとしたのですが、一杯についているカニ柄が愛しくてそれができません。そんな自分にますます腹を立てつつ、しばしクッションを抱きしめて泣きじゃくるのでした。
一方、アフロディーテに怒鳴られて泣かれて顔をひっかかれたデスマスクは、「何だあいつは!」とムカついていました。
そしてムカムカしながら予定の女に電話をかけ、「やっぱり明日行けねえ!・・・は?うるせえな、何しようと俺の勝手だ!」と予約をドタキャンしてしまいました。八つ当たりです。
電話の向こうから何やら言ってくる女をピッ!と電源一つでシャットアウトしたとき、上からシュラが下りて来ました。
シュラ「おい・・・アフロディーテが」
デス「知ってる!!」
シュラ「・・・・・・・何をした?さっきまでお前にやるプレゼントを買った買ったとうるさいほど喜んでいたのに」
デス「知るか!!おいシュラ、ちょっとつきあえ!飲みに行くぞ、胸クソ悪ぃ!!」
シュラ「・・・・・・・・・・」
まったく気乗りのしないシュラでしたが、デスマスクの頬に走るミミズっぱれに大方の想像がついたので、溜息を一つついて付き合ってやることにしました。
さて、クッションをしとど涙で濡らしたアフロディーテです。
彼は泣くだけ泣くと少しずつ気分が落ち着いてきました。落ち着いた分、今度は「デスマスクの明日の女」とやらに猛烈なヤキモチを焼き始めました。
年に一度の誕生日をどこの馬の骨ともわからないアバズレに横取りされてはたまりません。約束の順番からして、横取りしようとしているのは自分の方だということにも気づきません。
アフロディーテは知恵を振り絞って考えます。
思いついたのは「足止め作戦」でした。明日になる前、すなわち今日の夜中から巨蟹宮に押しかけて、24時間足止めするのです。真夜中になればもうデスマスクの誕生日ですし、誰よりも最初にお祝いするためにも、それが一番良いではありませんか。
アフロディーテは更に考えます。
買ってきたクッションは可愛いです(自己鑑定)。ですが、これ一つで24時間足止めするのはたぶん無理です。何と言っても相手は23歳独身男性。アバズレの誘惑に勝るためには、上を行く誘惑を仕掛けなければなりません。
そこでアフロディーテは、クッションと一緒に自分をプレゼントしてしまうという「私もプレゼントv作戦」に出る事にしました。寝ているデスマスクの横に現れて、「おまけのプレゼントなのだ。好きにしてくれv」と言うのです。嫉妬の余り何かを見失っています。しかし破壊力だけはありそうです。
じりじりしながら夜を待って、彼は巨蟹宮へと下りて行きました。
デスマスクは留守でした。アフロディーテはがっかりしましたが、すぐに、それなら待ち伏せ式に変更しようと思い立ちました。
寝室のベッドの上によじのぼり、傍らにクッションを置いてぺたんと座って待ってみます。
・・・・ですが中々帰ってきません。
退屈したアフロディーテは、クッションに結んであったリボンを解いて自分に飾ろうとし始めました。もはやメインのプレゼントはクッションではなく自分になってしまったようです。
最初は頭に結ぼうとしたのですが、鏡が無いため上手く行かず、結局は先にリボン結びにしたものを腕にくるくる巻きつける方向でラッピングを終えました。
・・・・デスマスクはまだ帰ってきません。
アフロディーテはまた余計なことを考え始めました。夜中にベッドの上で待っているのならば、それ相応に魅惑的な格好をするべきでは無いでしょうか。なんと言ってもあのデスマスクを引きとめるのです。半端な格好をしていては、「何しにきたんだ?帰れよバカ」で終わってしまうかもしれません。ズボンにシャツに上着と靴下という格好は、ちょっと厚着をしすぎです。
アフロディーテは靴下を脱ぎました。
デスマスクは帰ってきません。
帰ってきますように、とお祈りしながら上着を脱いでみました。
しかしデスマスクは帰ってきません。
ここまで脱いだら帰ってくるはずなのだが、と勝手なジンクスを作りつつ、ズボンを脱いでみました。
やっぱりデスマスクは帰ってきません。
「まさかもう他の女のところに泊まりで行ってしまったのでは・・・」泣きそうになりながらシャツも脱いでみました。
全然デスマスクは帰ってきません。
時間を相手にした野球拳は、アフロディーテが最後の一枚を床に落としてしまうまで続きました。
夜中を少し回った頃。
聖域の階段をデスマスクとシュラが後になり先になりしながら登って帰ってきました。
デス「ったく、あのワガママ金魚がよー」
シュラ「・・・・それだけお前のことが好きなのだろう。少しは気持ちを考えてやれ」
デス「俺のことが好きなら俺の気持ちも考えろっつーんだ!どうせプレゼントっつったって、あいつの持ってくるものなんかタカが知れてるしよ!」
シュラ「そういうひどいことを言うな」
巨蟹宮に入ってからもデスマスクはぶつぶつ言っています。
デス「シュラ、お前、去年あいつがくれたもの見るか?カニの貯金箱だぞカニの貯金箱!22にもなってどこの男がそんなもの喜ぶよ!」
シュラ「そう言いながらちゃんととってあるくせにな・・・」
デス「とってあるんじゃねえ!捨てるのが面倒なだけだ!なんだったらてめえにやる!」
シュラ「いらん」
デス「確か奥の部屋にほったらかしてあるんだよ。来い」
シュラ「いらんと言ってるだろうが」
デス「見るだけ見やがれ!」
シュラ「・・・・・要するにノロけたいんだな・・・・相当酔ってるな、お前・・・・;」
ほとんど強引に腕を引っ張られて部屋の前まで連れて来られ、うんざりしながらも苦笑するシュラ。
と、その時、部屋の中から何やらバサバサと大慌てをしているような気配がしました。
二人は顔を見合わせました。
デス「・・・誰かいるな」
シュラ「アフロディーテではないのか?お前のことを待っていたのだろう」
デス「待ってたんなら入り口で待ってるだろ。部屋の中に入ってるって事は・・・・さてはあいつ、俺のいない間に何か罠でもしかけやがったかな。毒薔薇とかよ」
シュラ「またそういうひねた想像を・・・」
デス「他に考えられねえだろ。あいつがリボンでも巻いて『私がプレゼントv』とかやってるっつーのかよ。ったく。・・・おい、アフロディーテ!何してやがんだコラ!」
デスマスクは怒鳴りながらドアを開けました。
次の瞬間、彼は後続のシュラを元来た方に思いっきり蹴り戻しました。
そして全力でドアを閉めました。
シュラ「????な、なんだ?何があった?」
デス「うるせえ!!とっとと帰りやがれてめえは!!」
シュラ「な・・・・」
デス「この先は俺専用だ!入るな!見るな!ぶっ殺すぞ!!」
シュラ「・・・・・・・・・・・;」
何が何だかわからないけれども、この剣幕はロクな事ではなさそうだ、と見て取ったシュラは大人しくその場を去りました。
デスマスクはもう一度部屋を覗いてみました。
酒の上の幻覚ではありません。ベッドの上ではクッションを抱えたアフロディーテが、泣きそうな顔をしてこちらを見ています。
・・・アフロディーテは泣きそうでした。
随分長い間に待ちくたびれていた彼は、外からデスマスクの声が聞こえてきた時、心の底からほっとしたのです。
しかしほっとすると同時に我に返りました。遅すぎです。
いつの間にか自分は裸。ここはベッドの上。時刻は夜。
かつて無いほど物欲しげなこの様子を恋人に見られ、軽蔑されでもしたら・・・・!
アフロディーテは大慌てで服を着ようとしました。
が、どうしたわけだか宮の主は一直線にこの部屋に向かってくるようなのです。間に合いません。
出来たのは、傍らのクッションで体を隠すことだけでした。
・・・・その後に外から届いた「とっとと帰りやがれ!!」という恐ろしい台詞は、アフロディーテを絶望のどん底に突き落としました。
もういっそ舌を噛んで死んでしまおうと思っていたところに、デスマスクが再び入ってきたわけです。
部屋に入ったデスマスクは、パタンとドアを閉めて後ろ手で鍵をかけました。
鋭い視線で見られた不法侵入者は、耳まで赤くなって顔をクッションに押し付けました。
アフロ「・・・・赦してくれ。恥ずかしくて死にそうだ」
この台詞が相手の嗜虐心に火をつけたことに全く気づいていないようです。
デスマスクがどさっとベッドに腰を下ろすと、彼は思い切りびくついて後ろににじり下がりました。
更にデスマスクが手を伸ばしてクッションをひっつかむと、悲鳴をあげて体を丸め、とられまいとします。
アフロ「やめてくれ!これを取られたら私は死ぬ!今すぐ死ぬ!」
デス「あん?これ、俺へのプレゼントじゃねえの?」
アフロ「そ、それはそうなのだが、違うのだ」
デス「何が違うんだ?ん?可愛いな、カニ模様」
アフロ「か、可愛いだろう?町で見つけたのだ」
デス「いいもの見つけたな」
にっこり微笑んで頭を撫でてやるデスマスク。その優しい雰囲気に、ちぢこまっていたアフロディーテも段々元気を取り戻してきます。
アフロ「・・・今日はもう君の誕生日だな?」
デス「そうだな」
アフロ「おめでとう」
デス「サンキュ」
アフロ「その・・・・・今日一日は私と一緒にいて欲しいのだが。他の女のところに行かないで。・・・駄目か?」
デス「いや?クッションくれたら一緒にいてやるよ」
アフロ「本当か!?じゃ、じゃあ、ちょっとだけ部屋の外に出ていて欲しい。すぐに服を着るから、そしたらクッションは君にあげ・・・・」
デス「・・・・『服を着る』・・・・?」
デスマスクが静かに聞き返しました。
デス「・・・服着るのか?これから?」
アフロ「だ、だって、その・・・・・そう、この格好は寒いのだ!」
デス「どうだろうなあ。すぐに熱くなるつもりで来たんだろ?なあ」
アフロ「!そんなつもりでは無い・・・・」
デス「可愛いな、そのリボン。色々使えるよな」
アフロ「い、いろいろ・・・?」
デス「服を着る、ねえ」
ほとんど体全体でアフロディーテをベッドの背もたれに押し付けて。
デスマスクは先ほどとは打って変わった獣色満載の笑みを顔中に浮かべ、言いました。
デス「俺がそんなこと許すわけねえだろ」
そして思いっきりクッションを引っこ抜きました。
・・・・・後刻、珍しく約束を守ったデスマスクは、誕生日の一日をちゃんとアフロディーテと一緒にいてあげました。
そりゃもう一日の平均間隔30cm以内というぐらい一緒でした。
アフロ「デスマスク!私は、こ、こういう目的のためにリボンをつけてきたのではないのだ!や・・・・!」
デス「誕生日ぐらいサービスしろよ。あ、目隠しもするか?」
アフロ「!!嫌だ!!」
アフロディーテが何回「嫌」といい、そのうち何回が叶えられたかはさておいて。
二人はとっても楽しい誕生日を過ごしたようです。