2個目の指輪伝説


ある日、ワルハラ宮の中庭でのことであった。
「ジークフリート、このアスガルドにも春がきましたね。見てください、この花の色の美しいこと」
「はい」
「ふふ、そんな所に立っていて見えるのですか?こちらへいらっしゃい」
「は」
 指先にとまらせた小鳥を空にはなして、女王ヒルダは草の上にかがみ込む。ジークフリートも言われた通り、その傍らに膝を落とした。
「ジークフリート。アスガルドの花はなんて美しいのでしょう。あなたもそう思うでしょう?」
「はい」
「私は思うのですよ。この花も草も、小鳥達も、アスガルドの厳しい冬を乗り越えて春を迎えます。この国の春はとても短いですが、だからこそ花達は春の喜びを知っているのです。それはまるでこの国の人々のよう。だからこんなにも美しく咲くのですよ」
「ヒルダ様・・・・・・」
「私、この国がとても好き。きっと一生、守ってみせます」
 うっとりと花を見つめながら言うヒルダは、傍らの男の視線が花ではなく自分自身に注がれていることにまったく気づいていなかった。
 ジークフリートはしばしヒルダの横顔を見詰めた。彼にとってはそれこそが花よりもなお美しいものだった。
 沈黙。
 それから彼は言った。
「ヒルダ様」
「なんですか?」
「どうかこのジークフリートを一生お側においてください。必ず、今度こそは必ずあなたをお守りいたします」
「ジークフリート・・・・」
「私は、この役目を他の誰にも譲りたくはありません。どうか・・・・あなたの側に・・・」
 まっすぐに自分を直視して言う男の台詞を、ヒルダもまた視線を逸らさず受け止めた。そして、
「ありがとう、ジークフリート。あなたの気持ちはとても嬉しいです。私も、その思いにどれほど救われたか・・・・あなたは本当に、このヒルダに勝るとも劣らぬほどアスガルドを愛しているのですね」
「は・・・・・・」
「でも、大丈夫。私はもう二度と、この間のように悪しき力に操られることはないつもりです。アテナとの闘いを通して、私もずっと強くなりました。ジークフリート、あなたが心配することはないのですよ」
「あの・・・・心配と言うか・・・・」
「あなたの気持ちは嬉しいのですが、あなたが私を守ると言うことはすなわち、このアスガルドが再び戦場になると言うこと・・・そんなことが無いように、私は心から祈っております」
「ヒルダ様・・・」
「ジークフリート。どうかあなたも、今は自分の幸せを探してください。アスガルドは、この力の及ぶ限り私が平和に治めていきますからね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
 優しい青い瞳で見つめられて微笑まれると、ジークフリートはとことん弱かった。
 彼は少し微笑みかえして肯き、地に視線を落とした。

 そのすぐ側の柱の影に、二つの人影があったことをヒルダ達は知らなかった。
 フレアとハーゲンである。
「お姉様、またジークフリートと一緒にいらっしゃるのね。ふふ、ハーゲン、ジークフリートったらお姉様を一生お守りするですって。本当に、忠誠心の厚い人ね」
 なんだかちょっとわくわくしながらこっそり覗いていたフレアは、知らず知らず微笑んでしまう口元を押し隠しながらそう言ったが、一方ハーゲンの方はまじめに何かを考えていた。
 その頬には、汗が一筋。やがて彼は低く言った。
「・・・・・フレア様」
「なあに?ハーゲン」
「私は思うのですが・・・・・ひょっとして今のジークフリートの言葉、彼の精一杯のプロポーズだったのではないかと」
 フレアの動きが凍り付いた。
「・・・・・・・・・・・・・そ、そうね、言われてみれば・・・・・・・・なんだか私の思っていたプロポーズとは何かどこかが違うんで危うく流して済ますところだったわ」
「というか、ヒルダ様は既に流して済まされているようですが・・・・・き、気づいておられないのでしょうか。・・・・おられないのでしょうね・・・・」
「お姉様この手のことには鈍感すぎるほど鈍感なのだわ。まずいわ・・・・・ジークフリートもわかりにくい表現しないでそのままズバリと言ってくれればいいのだけど・・・」
「失礼ですが、フレア様。このハーゲン、彼が『結婚してください』などと言ってる姿を想像することは普通に出来ないのですが」
「ごめんなさい、私も素でムリ・・・。でも!でもお姉様とジークフリートが結婚なんて、素敵なことだと思わない?とてもおにあいだわ!」
「似合い云々より、彼以外に誰がいる、というレベルですねもう・・・しかし端から見ていても道のりが果てしなく遠い
「そうね、このままだと一生平行線のまま臨終間際の遺書で告白なんて事になりかねませんわ。・・・・ハーゲン、私たちで何とかしましょう!」
「何とか、といいますと・・・」
「それとなくおぜん立てして、ジークフリートの再チャレンジを誘うのです。そして、今度こそは成功させるのだわ」
「よし。やりましょう!」
「ええ!」
 かくして、にわかに「勇者と女王を結ぶ会」が結成されたのだった。

 会の裏活動は翌日から始まった。
「あら、ジークフリート。向こうでお姉様が探していたわ」
「ヒルダ様が?承知しました。すぐ参ります」
 まずは初歩的な煽動から。「とりあえず偽の呼び出しをかけて二人を引き合わせる作戦」である。
 が、鳥かごの前で餌をやっていたヒルダはやってきたジークフリートを見るなり、
「ジークフリート!ちょうどいいところへ来てくれました。小鳥の餌が切れてしまったのです。面倒で申し訳ありませんが、一走りして町で買ってきてくれませんか?」
「ああ、そんな事でしたか。お任せください、すぐに買ってまいります」
 微妙な食い違いには気がつかず、そのままジークフリートはきびすを返していってしまう。
 柱の影から見ていたフレアとハーゲンはがっくりと肩を落とした。
北欧最強の勇者をパシリに使うお姉様・・・・・いろんな意味で手強いわ・・・」
「ええ・・・明日からはこのハーゲンが責任もって餌の補充をしておきます。二度とこんな事が無いように・・・・」

 しかしめげてはいられない。生半可な作戦では完全無効化されると悟った二人は、今度はもっと上級の手にでた。

「お姉様。今日は天気もよろしいですし、ジークフリートに遠乗りにでも連れていってもらったら」
「でも、私が留守にしては・・・」
「大丈夫。ちょっとの間ですもの、私がちゃんと預かります。時には気晴らしも必要ですわ、ね、お姉様。ジークフリートも乗り気ですわ」
「そう、それなら行ってきましょう。ありがとう、フレア」
 ヒルダはジークフリートと一つ馬に乗って出かけていった。
 そのすぐ後を、こっそりハーゲンの馬が追う。
「頼んだわよ、ハーゲン!」
「任せてください、ひとときたりとも見失わずにご報告します!」
 遠乗りに出かける森の中には、美しい泉や花の咲き乱れる野原もある。
 ロマンチックな演出なら完璧!と、思ったのだが・・・・・・
 夕方になって帰ってきたハーゲンの報告では、「ヒルダ様は一日中、馬を可愛がっていた」ということだった。 
「・・・・忘れていたわ。お姉様は動物には際限なく優しいのだった・・・・」
「ジークフリートはひょっとして、あの方の中では馬以下なのでしょうか・・・」
「いっそ彼を『犬』として認識してもらった方が脈があるかもしれないわね」
「それはちょっとあまりにも・・・」

 ここまで来ると手段を選んではいられない、ということで、次の日は一日中「やきもち大作戦」を敢行することにした。
 フレア自身がダミーとなり、ことあるごとにジークフリートにからんでいちゃついてみせたのだ。
「ねえジークフリート。今日は私を遠乗りに連れていって」
「ジークフリート、こっちに来て一緒に遊びましょう」
「嫌だわ、ジークフリートったらv」
 しかし、その様子を見たヒルダが、純粋に「ジークフリートは忙しいようですね」と思い込んだのでさあ大変。
 彼女の用事は必然的に全てハーゲンにまかされることになってしまい、フレアの相手をしながら遠くからそれを見ているしか出来ないジークフリートはますます不憫な立場に追い込まれてしまった。
 また、ハーゲンも「私的に耐えられないので止めてください」とフレアに直訴したため、この作戦はその日の夕方をもって打ち切りとなった。
「もう!お姉様ったらどうしてあんなに鈍いのかしら!」
「なんか今日一日で私とジークフリートの仲は激烈に悪くなったような気が・・・」
「こうなったら本当に手段は選びませんわよ!ちょっとハーゲン、耳を貸して」

 というわけで翌日。

「ジークフリート!お姉様が夜寝る前に飲むお茶を運んであげて頂けないかしら?」
「?ヒルダ様は眠られる前にお茶など召し上がっておられましたか・・・?」
「春が来たとは言え、今夜は冷え込んでいるでしょう?冷え込んでいるのよ(断定)。だからお願い」
「・・・・わかりました」
 フレアのそこはかとなく威圧するコスモを感じ、ジークフリートは釈然としないながらもティーセット一式をヒルダの部屋に運ぶ。
「ヒルダ様。失礼いたしま・・・・したっ!
 何気なく入りかけた部屋の向こうに主のネグリジェ姿を見て、10万分の1秒の速さで背を向けた北欧の勇者である。
「ご、ごめんなさい、ジークフリート。すぐ上着を・・・・・ああ、これでいいわ。もういいですよ。入りなさい」
 だが絹のガウンを上から羽織って出てきたヒルダを、すでに男は直視できなくなっていた。
「た、大変失礼いたしました。その・・・お茶を・・・・」
「わざわざ運んできてくれたのですか?ではあなたにもご馳走させてください。そこにかけて」
「滅相もございません!!私はこれで」
 ・・・・例によってこの様子を廊下の向こうから監視していたフレアとハーゲンは、成り行きに舌打ちをすることしきりである。
「ええいっ!遠慮などせずにさっさと招かれれば良いものをっ!」
「ネグリジェ一枚で何を戸惑っているのよあの甲斐性無しっ!まずいわ。このままじゃ本当にジークフリートが引き下がってしまう!・・・仕方ないわね。ハーゲン、頃合いを見計らって、私を連れ戻しに来て」
「え?あ、フレア様!」
 廊下から飛び出したフレアは、そのまま何気ないそぶりで、しかし異常なまでの早足で、ヒルダの部屋まで一気に接近した。今にも帰ろうとしているジークフリートに挨拶する暇も与えない。
「あら、お姉様。ジークフリート。今から二人でお茶にするのね?」
「いえ、私は・・・」
「私も一緒にお茶をいただいてはいけない?最近、お姉様とゆっくりお話する機会が無いし、それにジークフリートにも色々聞きたいことがあったの。ね、いいでしょう?」
「ふふ。ではフレアも一緒にお茶にしましょうか」
「ええ!三人で!素敵だわ!ねえ、ジークフリート」
「・・・・・そ、そうですね」
 ほとんど押し切られる形でお茶会参加をやむなくさせられるジークフリート。
 フレアはそんな彼を先に姉の部屋に押し込み、頃合いをはかりかねて戸惑っているハーゲンに目配せを送る。
隠れていた工作員その2はあわてて駆けつけてきた。
「フ、フレア様っ!」
「あら、ハーゲン、奇遇だわ。なあに?どうしたの?」
「え、ええとその・・・あの、実は今すぐぜひフレア様に見て頂きたいものがっ」
「私に?まあ、一体何かしら」
「何・・・・・・・きゅ、宮殿の軒下に、ツメツメ虫が巣を作っているのです。珍しい光景なので、ぜひ
「まあツメツメ虫!?素敵だわ!私、一度見てみたいと思っていたのよ。お姉様、ごめんなさい。ちょっと見にいってくるわ。すぐに戻ってくるから、ジークフリートと先にお茶にしていて。さあ、行きましょうハーゲン!」
「あ、フレアっ・・・?」
 姉の戸惑った声が呼び止めるのを無視して、二人はダッシュで走り去った。

 残されたヒルダとジークフリートはしばらくぽかんと少女の後ろ姿を見送っていた。
「・・・・どうしたんでしょう、あの子・・・・・」
「さあ・・・そんなに虫の好きな方だとは思いませんでしたが・・・・・」
「ツメツメ虫って何かしら・・・・知っていますか?ジークフリート」
「・・・・申し訳ありませんが、聞いたことはかつて一度も」
「そう・・・」

 二人の耳には、もちろん、走り去ったフレアとハーゲンが全力疾走しながらかわしていた会話など聞こえてはいなかったのだ。
 それは大体こんな内容である。

「ハーゲン!ツメツメ虫って何なの?
知りません。フレア様を連れ去る口実をとっさに作ったら出てきた虫です」
「もっとまともな口実は作れなかったの?っていうか、どうして虫が出てくるの!?アレじゃあ私が、怪しい趣味の持ち主みたいだわ!」
「も、申し訳ありません。しかし、とりあえずヒルダ様とジークフリートを取り残すことには成功しましたし、終わりよければ全てよしということで・・・」
「・・・・わかりました。じゃあ、次の張り込み場所へ移動よ!」

 一方、問題のジークフリートだが、彼はなんとなく流れに取り残されたまま、結局ヒルダの部屋でご馳走になっていた。
「ふふ、たまにはこうして、あなたとゆっくり向かい合うのもいいものですね」
「は」
 端で見ている方が気の毒になるぐらい全身固まっている。
 どうも彼には、レースのカーテンだとか花柄のベッドカバーだとか湯上がりのヒルダ等というものは刺激が強すぎるようである。
 それでもヒルダの持ち前の包み込むような笑顔と会話で、茶会は和やかに進んだ。
 当然のことながら、フレアは一向にもどって来ない。
半時ほどたった頃だろうか。異変は起こった。
「・・・・・どうしたのかしら。なんだか、急に眠く・・・」
 カチャン!
「!ヒルダ様!?」
 それまでニコニコとお茶を飲んでいた女主人が、あくびを一つしてティーカップを落とし、いきなり横に倒れ掛かかったのだ。
 とっさに椅子を蹴立てて駆け寄ったジークフリートは危ういところで抱き留めた。
「ヒ、ヒルダ様・・・?」
 腕の中で、彼女は既に深く眠り込んでいる。
「一体・・・」
 状況が理解できずにひたすら困惑するジークフリート。しかしすぐに気づいた。
 自分の体にも、異変が起こっていることに。


び、媚薬ーっ!?フレア様、そんなものをカップに塗ったんですかあなたはっ!?」
「しっ!ハーゲン、中に聞こえたらどうするのよ。・・・そう、媚薬。しかも超強力なものです。お姉様専用のカップには睡眠薬を塗っておいたし、首尾は完璧だわ」
 ヒルダの部屋の外、バルコニーにひそんだ工作員二名は、カーテンの隙間から中の様子をうかがいつつ、とんでもないネタばらしをしていた。
「フレア様・・・・・・ひょっとして私たちのやっていることは既に犯罪なのでは・・・・」
「これくらいやらなければいつまで経っても進展しないんですもの。さあ、ジークフリート!チャンスです!がんばりなさい!」
 全身冷や汗のハーゲンと、盛り上がるフレア。
 彼らの目の前で、北欧の勇者はヒルダを抱いたまま硬直していた。


 ・・・・・・・・体が熱い。
 ジークフリートの額から汗が一筋滴り落ちる。
 視線はヒルダの顔から逸らすことができない。胸の鼓動が早くなり、息が荒く変わって行く。
(な、なんなのだこの心臓は・・・・・・・まさか、紫龍にやられた後遺症か!?
 かつて無いほどのパニックが、彼を襲っていた。
「ヒルダ様・・・・ヒルダ様!」
 よんでも、主は一向に目覚めない。
(とりあえず、寝台に寝かせて差し上げなくては・・・)
 なんとか自分を落ち着けて、ジークフリートは彼女の体を抱き上げる。
 そのとたん、暖かい石鹸の香りが鼻孔をついた。
(・・・・・・・・・・・・!)
 両腕にかかる暖かい重み。たとえようも無く心地いい感触。
 勇者は今、すさまじい葛藤の中にいた。
(何を考えているのだ私はっ!!)
が、頭を振って思いを振り払う。自制に自制を重ねつつ、ヒルダをベッドの上に静かに横たえた。
 胸元が規則正しく上下しているのを見て、また体温が上昇したように思ったが、同時に安心もした。
 病ではないようだ。
 急に倒れたのが気にはなるが、つかれているのだろう。このままそっとして置こう。
 ヒルダの下敷きになって動かせない上掛けのかわりに、自分のマントをはずして体を覆った。
 ふと、指の先が水色の髪に触れる。
「・・・・・・っ」
 たまらなくなって、一瞬ヒルダの唇に顔を寄せるが・・・・・
「・・・・・・・・」
 寸前でとめて、男は身を翻す。
 そのまま、部屋を後にした。


 ・・・・・・・・・窓の外の二人は、なんだか深く胸をつかれたまま座り込んでいた。
「・・・・・・・・・・・・・さすがだ。ジークフリート。あの忍耐力と自制心・・・・まさに彼こそ、北欧最強の勇者にして男の中の男です」
「私・・・・反省しましたわ。なんだか・・・・あの人のお姉様への想いは、私たちがどうこうできるようなものではないのね」
 最後の最後で、口付けをしなかった・・・・いや、できなかったジークフリートの苦悩の姿に、フレアもハーゲンもいたく切なく感動したのだった。
 あの男は、ヒルダを心の底から愛している。
 だからこそ、どんな事があっても、望まれない限りその想いを押し付けることはないだろう。
 それが辛くても、彼はヒルダのためなら喜んで耐えるのだ。
「・・・・・・見守りましょう、フレア様。あれほどの想いが、いつか成就せぬはずがありません」
「・・・・・そうね。きっと、そうよね」
 なんとなく確認しあって、二人は解散した。
 きっと、結ばれる日が来るはずだと、信じて。
 
 そしてその数日後、事態は一変して急展開の様相を呈してきた。

「フレア。フレア。・・・・・ああ、ハーゲンもいたのですか、ちょうど良かったわ。大事な話があるのです」
 小鳥のように軽やかな足取りのヒルダが中庭に現れたのは、春の日差しが暖かく差し込む午後であった。
 彼女の後ろには、いつものようにジークフリートが静かに控えている。
「なあに?お姉様」
「ふふ」
 ヒルダはそっと左手をかざしてみせた。
 そこには、薬指に深々とはまった金の指輪が
「実は・・・・・・私この度、婚約したのです」
『婚約!?』
 フレアとハーゲンの驚きの叫びが重なった。
「婚約って・・・」
「まさか・・・・!」
二人はすぐに顔を見合わせ、どちらからともなく笑顔を浮かべた。
 こんなに早く願いがかなうとは。
 ああ、これで北欧最高のベストカップルが誕生する!
「すばらしいわ!それで、お姉様。そのお相手の方はどなた?」
無邪気を装ってたずねるフレアの視線は、ちらちらとからかうようにジークフリートの方へ向けられた。
 そんな妹に、ヒルダはにっこり微笑んでこたえたのである。

アルベリッヒです
 
・・・・・・・・・・・・・

『アルベリッヒーーー〜!!!?』

フレアとハーゲンの大絶叫は、驚きのためか後半ややヨーデル調になっていたという・・・。


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