・・・30分後。

 結局、アフロディーテは俺の気持ちを半分も理解してはくれなかった。
 でも、壁際でウロウロするしかない俺を抱き上げて、相変わらずいい香りのするこの部屋に連れて来てくれた。

 その上、他の黄金聖闘士達も呼んでくれた。
 今皆が俺の前で、俺のために集まって、尽力してくれようとしているところだ。

 彼らの様子を見つめる俺の気持ちは・・・・・・上手く言い表せないが・・・・・


・・・・・・




なんつーか、そうだな。





口で言うより、見てもらったほうが早ぇだろうな。






こんな感じなんだ。











・・・同情はいらねえ。

っていうか同情されてる場合じゃねえ;
半分どころか何も気づいてもらえて無いだろっつーツッコミも無しにしといてくれ。

俺いま客の笑いとってる余裕ねぇからよ。

コンロの上でちょうど俺一匹入りそうな鍋がグツグツいってるし?
「カニはミソが美味いんだ!」とか蠍のバカ野郎が力説してるし?
で、アフロディーテが大喜びで包丁研いでるし?

アフロ「私が見つけたのだ!生きがいいだろう?刺身で食えるぞ!」

・・・・。あいついつか殺す。

シャカ「包丁など研ぐに及ばんだろう。ここに人間包丁がいるではないか。なあシュラ」
シュラ「誰が人間包丁だ!せっかくアテナから授かったエクスカリバーだぞ!カニなんぞに使う気は無いわ!イメージの悪い!」

・・・友情って・・・・
いや、それより、目をつぶっているシャカにすら俺がカニとしか思われていないということの方が問題だ。
俺の小宇宙もカニ化してるんだろうか。
やべえ;
切ったり煮られたりする前に、何とかこれは俺なんだということを知らせねえと死んでしまう。

誰か、誰か気づけよオイ・・・!

ん?アイオリアがこっち見てるな。
よし!アイオリア、気づいてくれ!




オレ







デス



マスク



だ!



リア「!」

アイオリアの顔に、はっとした表情がよぎった。
通じたか!?

リア「・・・・・おい!大変だ!カニが死に掛けてるぞ」
アフロ「なに!?」

ちげえ!ちげえよこの鈍感!!ブロックサインだよブロックサイン!!

アフロ「今死なれたら鮮度が落ちる!暑さのせいか?水をぶっかけとけ!」
ミロ「よし!」

ざっぱざっぱ。

・・・水道水を汲んではかけ、汲んではかけする中間達を上目遣いに見上げながら、俺はつくづく自分の身と・・・・そしてこの馬鹿野郎ども全員を呪っていたのだった。





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