第一ラウンド VS海馬のバイアン

デス「シーホースのバイアンか。なんだかこれといって特徴のない相手じゃないか?」
シュラ「言うなデスマスク。そんな事を言ったら、星矢だって良い勝負だぞ
ロス「シュラ・・・・おまえこそそういう事を言うな・・・・」
シュラ「お!出たぞペガサス流星拳!」
 パアアアアンッッ!!
シュラ「むう、絶対防がれるとは思っていたが、やはりあっさり防がれたか・・・」
カミュ「しかも相手の肺活量一発(ゴッドブレス)で吹っ飛んでいる・・・・体重足りてないのではないか?」
シオン何に足りないんだ何に。というかお前達、よくこんな不甲斐ない小僧に後の世を任せてこっちに来たな」
カミュ「う・・・・それは言わないで下さい教皇。別に私たちだって来たくて来たわけではないのです

 そんなこんな言っている内に、吹っ飛ばされた星矢が何とか立ち上がっていた。
 更にもう一度吹き飛ばされるが、それでもなお体勢を立て直す。
 おお。なかなか見上げた根性だ。
 が、しかし。「決定的に倒さない限り俺は何度でも立ち上がる!」などと余計なネタばらしをしたものだから、バイアンが本気になってしまった。
――――――――ならばくれてやろう決定的な死を(中略)!! ライジングビロウズ!!
 ドーーーーン!バーーーーン!バシャアアッッ!

サガ「せ、星矢!?おい、画面外まで吹っ飛ばされてしまったぞ!!星矢はどこだ!」
カミュカメラ追え!!追わんか!!
デス「ん?どうやら海面の外まで飛ばされたようだな」
サガ「本当だ、浮いている」
シュラ「星矢!これしきのことで水死体になっている場合か!!俺など紫龍に大気圏外まで持っていかれたのだぞ!?
デス「俺も紫龍に冥界まで落とされた。なんだか上下に広いなあいつ
アフロ「デスマスク。今は紫龍の攻撃範囲について考えている場合ではないと思うのだがね」
サガ・・・・テレビの前で応援するのもそれはそれで無駄な気がするが・・・・
ロス「いいから黙って見ていろお前達。気が散ってかなわん」
 
 私は青銅の小僧どもとは一面識も無いのだが、とりあえず星矢は刺激をあたえるとより熱くなる、ホッカイロ的な気質の持ち主だったらしい。何度かぶっ飛ばされている内にいつのまにやらレベルが上がり、聖衣も金に輝いて、最終的にはバイアンを殴り倒してしまった。

ロス「これで一本目、だな」

 柱を倒すのに少々苦戦し・・・・というか、物理的には柱はバイアンよりも強かったのだが、天秤座の黄金聖衣によって破壊することが出来た。
 もう少し早く持ってきてくれていたらバイアンなんぞ一撃粉砕だったはず・・・・とは言わないでおこう。そこら辺りはアテナの禁ずるところなのだろうから。
 まあ世界の水没前にして、フェアもアンフェアもあったもんではないと思うのだが・・・・

デス「んで次は誰の番なんだ?」
カミュ「アンドロメダだ」
アフロ「何?アンドロメダ?」

 今までやや後方で高みの見物していたアフロディーテが一同をかき分け最前列に出てきたところで、戦いは第二ラウンドへと続いていった。


第二ラウンド VSスキュラのイオ

 とりあえず、初っ端に出てきた美女の幻影で一同沸いた。

デス「おい、女だ女!」
シュラ「耳元で怒鳴るな。言われなくても見ればわかる」
デス「あんな美人が支配下にいるのかー。羨ましいぞポセイドン」

 しかしその下は獣(しかも六匹)だった。

アフロ「オチがあるとは思ったが・・・・・そうきたか」
カミュ「しかももともとは結局男だったらしいな。何だったんだあの幻影は」
デス「毎度毎度思うんだが、どうして俺達の世界はこう女色がどこまでも無いのだろうな」
アフロ「その分、私のような美の化身がいるではないか」
デス「いろんな意味で範疇外だ馬鹿。って言うか、十二宮で彼女持ちの男っていたか?」
 
 立ち込める重い沈黙

アフロ「んっふ。私の場合は鏡が恋人・・・・」

 ゴッっ!!

アフロ「殴ることないだろう!?」
デス「殴りたくなる心情を察せ」
シュラ「そういえば、彼女とまではいかないが、アイオリアは魔鈴に執心していたのではなかったか?」
ロス「何!?し、知らなかった・・・・我が弟が恋愛中!!ここは兄として応援してやらなければ!!」
サガ「む・・・・・私も知らなかった。知っていれば魔鈴に幻朧魔皇拳をかけて一発で成就させてみせたのだが」
シュラ「そういう成就の仕方は恋愛とはいわんだろう・・・・ここからでも黙って見守っていてやることだな」
シオン「その前にお前らアイオリアの恋愛云々より、リアルタイムで激戦しているアンドロメダを見守ってやれや

 画面のアンドロメダは六匹の獣の攻撃を律義に全部体験し、相手が得意の絶頂にいたったところで一匹ずつ殲滅していく戦法を取っていた。
 なんだかとてつもなくタチが悪い

――――――――グレートキャプチャー!!
――――――――ぐおお〜っ、ス、スケイルが粉々に・・・・こ・・・・このまま締め付けて殺すつもりか・・・
――――――――大丈夫、命には別状ないから・・・あの柱を砕いたらすぐ離してあげるからね。

アフロ「騙されるなスキュラのイオ!!アンドロメダは笑顔でそんな事を言いつつトドメはきっちり刺す男!一時の油断が死を招くぞ!!
デス「お前一体どっちの味方だ・・・;」
アフロ「どっちとかそういう問題ではない!危険だから忠告してやっているのだ、悪いか!」
カミュ「黙れ。どちらにしろここからでは聞こえん。おお、アンドロメダが吹っ飛ばされたぞ」

 ビッグ・トルネードで何度か吹っ飛ばされた後、金に変わったチェーンでもう一度イオをぐるぐる巻きに縛り倒すアンドロメダ。
 手も足も出ず歯ぎしりしている敵の目の前で、彼は柱を破壊した。
 その際、過失に見せかけてイオを葬っていたのが印象的だった。

アフロ「見たまえ。私の言った通りだ」

 やや得意げに言うアフロディーテの言葉に、誰もがなんとなく気まずい思いを残しつつ、戦いは第3ラウンドを迎えようとしていた。・・・・・


第3ラウンド VSクリュサオルのクリシュナ

シュラ「よし!今度は紫龍だ!!待っていたぞ!」
カミュ「なぜだ!!なぜ氷河が出てこんのだ!?」
シオン「お前ら、アイドルのビデオに群がるファンじゃないんだからもっと落ち着いて見たらどうだ」

 紫龍は、すでに名乗ることすら許されないまま戦闘に突入していた。
 クリシュナの武器は、いかなる邪悪をも刺し貫く黄金の槍。

シュラ「俺のパクリか!!?」
ロス「パクリって・・・・それを言うならお前のエクスカリバー自体が有名伝説のパクリだろう
デス「どうでもいいが、紫龍のやつ毎回毎回、『聞くだけでドラゴンの盾が通用しなさそうな相手』にばっかりあたるよな・・・」

 デスマスクの言った通り、今回も初っ端からドラゴンの盾は通用しなかった。盾はおろか脇腹まで突きとおされた上、槍を折ることもかなわず、紫龍はばったり倒れふした。

シュラ「む!いかん!紫龍が死んでしまう!ふざけるなよ。お前がここで負けたら、そのお前に負けた俺は何なのだ!
よし。ちょっと行ってくる」
シオン「どこに行く気だお前。というかここをどこだと思っている!現世になど行ける訳が無かろうが!」
シュラ「し、しかし・・・・紫龍の右手には俺の授けたエクスカリバーが眠っているのです!その存在を教えておかねば!」
シオン「授けた時に教えておけそんなもん!むう・・・しかしいまさら言っても遅いか。なんとかして紫龍に伝えなければ」
ロス「教皇。そういう事なら、この先のレンタルショップ撮影機を借りて、地上にシュラを中継しましょう」

 おお!その手があったか!

サガ「しかし、アイオロス。あの店はカロン経営のチェーン店でレンタル料がかなり高いはずだが」
シュラ「何でもいい。さっさと借りてくるぞ!幸い黄金聖衣は純金製だ。おいデスマスク。蟹の足を一本よこせ」
デス「俺のかよ!!冗談じゃねえぞ、何が悲しくてマスク切り売りして撮影機借りねばならんのだ!」
シュラ「つべこべ言うな!お前も紫龍には散々迷惑かけただろう!?」
デス「そんならお前の角を一本売れ!!」
シュラ「蟹足の方が手ごろだろうが!」
デス「手頃というならアフロの鱗をはげばいいだろう!!?俺に責任押し付けるな!!」
アフロ「ふざけるな!私のこの完成された美に傷をつけるなど、死んでも許さん!!おとなしく足を質に出せ!!どうせ一度は体からはがれた聖衣だろうが!!」
デス「それを言うなアアアアっっっ!!!っ、うわっ!?」
 
 カシャーーーンッッ!!
 突然、蟹座のマスクから蟹足が一本はずれ、跳ね飛んで地面に落ちた。

デス「ば、ばかな!なぜ・・・・!?」
シュラ「おそらく・・・黄金聖衣の意志だ!!
デス「うそつけええええええっっっ!!!貴様、今絶対エクスカリバー使っただろう!?」
カミュ「ああああああっっ!!くそやかましい!!おい、そこの蟹!!いい加減にしないとクール宅配便にして新鮮なまま田舎に送るぞ!!さっさと映写機借りて来い!!」
デス「だからなんで俺がーーーーーっっっ!!!(泣)」

 しかし結局、デスマスクは蟹足一本と引き換えに、撮影機を借りてきた。
 けっこういい奴なのかもしれない・・・・

シュラ「おい、誰か使い方わかるか?」
カミュ「ああ、これなら任せておけ。シュラ、そこに立て」
シュラ「こ、こうか?」
カミュ「いや、もう少し右・・・・よし。それでいい。レンズを見ろ」
デス「なんでお前そんなに手慣れてんだ・・・・」
カミュ「シベリアでは良く使っていた」
サガ「・・・・・・・・ひょっとして氷河の成長記録を・・・・・・・」
カミュ「言うな。行くぞ」

シュラ「どうした紫龍!!」
――――――――あ、お前はカプリコーンのシュラ・・・・・

ロス「何もこんな時に枕詞からフルに言わなくても・・・・・」
デス「まだ実況中継口調がなおらんようだな・・・おそらく旧時代の遺物(=老師)に育てられた影響だとおもうが・・・」
カミュ「うるさいぞ。雑音が入るだろう」

シュラ「フッ紫龍よ(中略)大いなるものが宿っているのだぞ!!」
――――――――な・・・・なんだって・・・ま・・・まさかそれは・・・
シュラ「フッそうだ紫龍・・・お前の右腕にはこのシュラの魂が宿っているのだ・・・あのエクスカリバーがな!!

 ジー・・・パチン。

シュラ「だからお前はあんな半魚人の一人や二人に恐れをなす必要など無いのだ。今こそ右手を掲げて三枚おろしにするがいい!ちなみにエクスカリバーの正しいさばき方はタテタテヨコヨコ丸書いてチョンだ!!間違えるな!!」
カミュ「・・・・シュラ・・・・熱くなりはじめたところ申し訳ないが、実はさっきから撮影機のバッテリーが切れているのだが・・・」
シュラ「!!なっ・・・!!早いぞオイ!!
アフロ「フ・・・・所詮は蟹足一本分、ということか」
シュラ「むう、役に立たん!!
カミュ「ここぞというところで駄目になる・・・さすがは蟹だな
デス「泣かすぞ貴様ら・・・大体シュラ、お前が要らんことをぐちゃぐちゃくっちゃべっているからそういう事になるのだ!」
シュラ「なにい!?」
ロス「まあまあまあまあ、待て待てお前ら」

年上の貫禄で止めに入るアイオロス。

ロス「カミュ。とりあえず、どこまでは撮れたのだ?」
カミュ「うむ・・・・『エクスカリバー』の辺りはなんとか送れてると思うのだが」
シュラ「その後は全然駄目か」
カミュ「おそらく」
シュラ「くぅっ!無念!!」
サガ「いや・・・・そこまで送れば十分なのでは・・・・・むしろその後の送られても紫龍が困惑するだけのような気が・・・・」
シオン「画面を見ろ。必要最低限は通じているようだぞ」

私の言葉で、一同ははっとテレビに視線を戻した。
 ・・・・・私が何も言わなかったらひょっとして気づかない内に紫龍の戦いは終わっていたのかもしれない・・・・
 
――――――――究極まで高めた小宇宙によって俺は今お前の黄金の槍を断つ!!このエクスカリバーでな!!

カシャアアンッッ!

 折れなかった。

――――――――な、なにい!?先ほどと同じくびくともしないとは・・・?

シュラ「だからタテタテヨコヨコ丸書いてチョンだと言っておろうがーーーーーっっ!!!」
ロス「いや、それも明らかに違う」
デス「本当に紫龍の腕にエクスカリバーあるんだろうな!?」
シュラ「譲ったはずだ!!3割!!
デス「少ねえーっっ!!!お前それで全てを託したつもりか!?」
シュラ「あんな槍の一本や二本、3割あれば十分だ!・・・・・むう、しかし確かに譲ったはずだが・・・・発動しないとなると、ひょっとしてあれは塵になる前に見た幻覚だったのだろうか・・・」
シオン「お前・・・もし本当に幻覚だったら紫龍に何と言って詫びる気だ・・・・?」

 ブラウン管の中では、紫龍が金メッキ呼ばわりされている。
 どうもクリシュナは本当の金メッキというものを知らない様だ。はれてこちらに来た時には蟹と対面させてやろう。

――――――――とどめだ紫龍ーーーーっっ!!

一同「っっ!!!!!」
シオン「こらこらこらお前ら、目をつぶるな。いくら見ていられないからって・・・・」
サガ「きょ、教皇、恐いところはもう済みましたか・・・?
シオン「知らんわ阿呆!!そのホラー映画にびびる小学生みたいな聞き方真剣やめろ!!」

 それでも目を開けようとしない二十歳以上の男どもを片端からしばき倒し、無理矢理開眼させてやる。
 全員が立ち直った時、テレビでは紫龍が半裸だった。

シュラ「い、いつのまに!?」
シオン「お前らが寝ている間に決まっているだろうが!それより誰か説明しろ。何であいつは脱いでいるのだ」
デス「いや・・・・ちょっとそこらへんは俺等にもよくわからないのですが・・・・・」

 その後の展開を見るに、多分あれは一種の気合入れのようなものだったのだろう。自らを背水の陣に追い込むことでエクスカリバーを目覚めさせ、クリシュナの槍を真っ二つにすることが出来た。
 それどころか、相手のスケイルまでぶつ切りにし、更には髪までモヒカンに。
 情け容赦ないとはこのような事を言うのだろう。
 しかしクリシュナもなんだかしぶとく、今度は座禅を組んでインド哲学について長長と語り始めた。

デス「聞くなよ紫龍・・・・そんな説教臭い話」
シュラ「修行時代もああやってまじめに老師の説教聞いていたのだろう。そう思うと涙が出てくるようだ
アフロ「インドの宗教話ならシャカでも連れてきてやればいいのだ。論理とその超越とで完膚なきまでに叩きのめしてくれるだろう」

 勝手なことを言っているうちに、紫龍は二三回吹っ飛ばされ、二度目の失明までしていてまたまたピンチに陥っていたが、なぜか今度はこっちの黄金聖闘士どもの反応が呑気だ。

シオン「お前達、心配ではないのか?見る限り、紫龍はまた死に掛けているようだが・・・」
シュラ「教皇。ご安心ください。あいつ脱いだらすごいんです」

 ・・・・・なんだか良く分からない理屈だったが、第六感に迫ってくる説得力だけはあった。
 そして本当にクリシュナを倒してしまったのだから、ますます良く分からない。
 弱点が一直線に並ぶのなら座禅なんか組むな、とモヒカンには言ってやりたいが、まあ、死んでしまった奴の悪口は止めておこう。
 ともあれ、これで3本目の柱も撃破し、いよいよ後半戦に突入というところである。
 先ほどから妙におとなしくなっているカミュの、目の光が増しているように思えた・・・・


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